DANGO母です。
やっぱり面白い、内館牧子さん。
「散る桜残る桜も散る桜」
良寛辞世の句。
今回の終わった人は、定年退職をした男性が主人公。
岩手から東大法学部に入り、メガバンクで頭角を表したものの、上司云々のせいで子会社へ。
その後定年退職をするのだが、その後何をしていいのか見つからない。
ハローワークに行って、小さな会社の面接に行っても、東大法学部卒という古めかしい肩書きが邪魔をする。
そうだ、これからは大学院に行く!と決めて、まずはカルチャースクールに行くと、受付の女性と仲良くなる。
が、ご飯を食べる以上の関係にはなれない。
そうこうしているうちに、ひょんなことからIT会社の相談役になり、社長の急死で社長になってしまう。
その後、思ってもみなかった不幸に見舞われて…。
サラリーマン、所詮は会社に人生を託しているサラリーマンなのだ。
会社は必要がない人、歳をとった人にはさっさと三行半をつきつける、非情なものだ。
オレはこんなに頑張ったんだぜ!イカしてたんだぜ!といくら吹聴しても既に思い出だ。
思い出と戦っても勝てねンだよ。
かと言って人はいつ死ぬかわからない。
あと何年もある(だろう)人生をどう生きるか、悩ましいこと限りなし。
現役時代に輝いていたと自負する人ほど定年後の暮らしを迎えて悶え苦しむのか。
世のお父さん、ホントに生きづらいね。
人生波瀾万丈、人の数だけドラマありです。
さすが内館牧子さん、と思うような読み応えのある本です。