クララとお日さま

カズオ・イシグロ著。

DANGO母です。

やっと読めました、クララとお日さま。

ノーベル賞をもらった後の第一作目の作品です。

随分可愛らしい題名ですが、このクララとは、AF(人口親友)のこと。

つまりアンドロイドです。

近未来、子供はAFをお店で買って、子供時代に孤独にならないようにいつもそばに侍らせるという設定です。

クララは病弱な女の子のジョジーに買われてジョジーの家でジョジーと常に一緒に過ごします。

AFは自分で物事を考える、というよりも、買ってくれた子供のことを一番に考えて、どれが一番良い選択なのかを常に本人以上に考えます。

むしろ、自分を捨ててジョジーに懸命に尽くします。

必要とされて買われたAFですが、必要が無くなったらこのAFはどんな末路を辿るのだろうか、と物語の後半からずっと頭から離れませんでした。

今はスマホでさえ、話しかけると応えてくれる時代です。

TVでも音声で見たいものが探せるようになりました。

きっとAFも近いうちに当たり前のように子供のお供になるのでしょう。

人間の女の子ジョジーに重きを置いて読むか、物語の語り部AFのクララになって読むかでまた違った味わいがあると思います。

初めて読んだカズオ・イシグロ氏の「私を離さないで」にも驚きました。

それは臓器移植をさせるためのクローン人間がテーマでした。

羊のドリーができるくらいなのですから、人間のクローンだってできないことはないのでしょう。

もうすでにどこかで始まっていてもおかしくないな、と考えさせられる作品でした。

こちらのクララとお日さまも、その時と似た気持ちになりました。

いずれそうなってもおかしくないな、と。

まだ見ぬ未来を暗示させるようなカズオ・イシグロの作品、益々これからも楽しみです。

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