小さいおうち

DANGO母です。


古本屋のレジの前に平積みでありました、「小さいおうち」中島京子著。
冬に映画化もされて、とても気になっていた一冊です。
東北から東京に女中奉公に出てきた「タキちゃん」が主人公です。
タキちゃんは奉公先の美しい奥様と赤い屋根の小さなお家が大好きで、それはそれは大切にして尽くします。
時代は昭和初期から戦争に突入して行く頃です。
昭和初期といえば、いつもテレビで見るモノクロ映像の暗黒世界を思いますが、実際に食べるものが配給制になってお腹がすく時期に入るまではとても明るく華やいで、東京オリンピックも開催が決まったりして、みんな浮かれていたバブルの頃とよく似ていたのだ、と年を取ったタキちゃんは本の中で回想しています。
物語は淡々としていますが、昭和の女性がどんな生活をしていたのか、着る物や食べるもの、お掃除のやり方、お正月の迎え方などなど、とても丁寧で細やかな心遣いがあったのだと感心します。
原作は直木賞受賞作、ヒロインのタキちゃん役を勤めた黒木華さんはベルリン国際映画祭で最優秀女優賞をもらった、とてもおめでたい作品です。
秋の夜長にぜひ読んでみて下さいね。