シズコさん

DANGO母です。


「100万回生きた猫」を読んだことがあるだろうか。
子供がいたら、きっと一度は手に取った絵本である。
その作家が自身のお母さんの思い出を綴ったエッセイが
「シズコさん」である。
童話作家になる人は、裕福で才能のある人というイメージであったが
作家の佐野洋子さんは、大蓮から家族で引き上げてきて、大変な苦労をされている。
お嬢様だったのは、中国にいた頃だけ、戦争が終わった途端にがらりと
生活が一変して、その後も兄弟を亡くしたりして、大変な子供時代を送っている。


作者とお母さんの関係は、とても冷めていた。
寒い日に、かじかんだ手を握ってもらいたくてお母さんの手を握ったら
お母さんは「しっ!」と手を振り払ったのだ。
そのシーンを読んだ時、何てぇ母親だっ!と思った。
その後も愛されない娘は母親を愛することができず、
母親が呆けた時、お金で母親を捨てた、と振り返る。
まだまだ福祉やら介護保険やらが充実していない時期、
呆けた親の面倒はお家で看るのが当たり前だった時代だ。


若い頃はMOGAで小粋な娘さんも、年をとり呆けて死ぬ。
人は生まれたときから死に向かって歩いているのだ。
どこがゴールなのかは人それぞれである。
頭では漠然とわかっている。
 

ここ数年、友達の親の訃報をきくようになった。
私もそんなお年頃になったのである。
次はあなたの番ですよ、といつ言われてもおかしくない。
うちの両親は共にそこそこ元気で、仲良くやっているようである。
ありがたいことである。
できれば少しでも長く仲良くやっていて欲しい、と
ずるい娘は祈っている。