DANGO母です。
毎日寒いですね。
いつもは比較的暖かい香川でも雪が降りました。
隣の屋根もお菓子のように粉砂糖がかかったようになっていました。
とっても幻想的ですね。
さて、今回読んだのは「中坊公平・私の事件簿」中坊公平の新書です。
ブックオフのレジ前に平積みされて、1冊50円。
中坊公平といえば、正義の味方弁護士、というイメージがありますが
自称「ぼんぼん育ち」で、どうしても引き受けられない事件があるそうです。
それは男女のもつれ系の裁判だそうです。
ま、万能な人間などおらず、ご立派な弁護士にも得手不得手があると
言っておられるのだから、ここも素直で好きになれるとこの一つであります。
この本には中坊公平が心に残る14の事件をピックアップして、
事件の概要と、それに対する思い出と教訓を書いています。
人間は、はじめから立派な人っていないんですね。
一つ一つの事件とかかわって、経験を積んで反省して、少しずつ大人になっていくんですね。
中坊公平氏ですら、悩み、苦しみ、子供のようにお父ちゃんに助けを求めていくシーンがあります。
こんな立派な人ですら、です。
それは森永砒素ミルク中毒事件の被害者の弁護団長になってくれと頼まれた時です。
国や大手企業を相手取った裁判にかかわると、自分への評価が歪み
「いいお客さんや妻子に迷惑がかかるのとちがうか?
お父ちゃんに相談したらやめとけと言うてくれるやろ」
と。
ところが、当時74歳だったお父ちゃんは43歳の息子に
「情けないことを言うな。お父ちゃんは公平をそんな子に育てた覚えはないぞ。
この事件の被害者は誰や。赤ちゃんやないか。赤ちゃんに対する犯罪に右も左もない。
・・・・・・人様のお役に立てるんなら喜んでやらしてもらえ。」
と諭されたそうです。
43歳になっても「お父ちゃん」とすがる息子もかわいいですが、
内心を知ってか知らずか、ぴしゃりとはねつけるお父ちゃんも偉い。
「弁護士というのは、弱きを助け、強きを挫く職業だ」
との父の言葉に、弁護団長になる意志が固まり、裁判へと突入していくのです。
森永砒素ミルク中毒事件における彼の冒頭陳述は、何度読んでも泣いてしまいます。
とても有名な裁判で、テレビでも何度も流れている話ではありますが
是非ご一読くださいね。